遺伝子組み換え作物
遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organisms)とは、ほかの生物の有用な遺伝子を作物に組み込み、新たに特殊な性質を持たせた作物のことで、バイオテクノロジーによって人為的に品種改良された作物です。英語の略称を取ってGMOとも呼ばれています。
1972年に、米国スタンフォード大学のポール・バーグ教授が、異種生物間での遺伝子組み換えに成功してから、生命操作技術であるバイオテクノロジーは大きな変革を遂げてきました。例えば、微生物の遺伝子を作物に組み込んで品種改良することもできるようになりました。
1980年代の微生物でのさまざまな実験を経て、1994年には、米国で日持ちを良くしたトマトが遺伝子組み換え作物として世界で初めて商品化されました。
1996年には、米国、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、メキシコにおいて、除草剤の影響を受けにくい大豆や菜種、害虫抵抗性のあるトウモロコシ、綿、芋などの栽培が開始されました。

農家にとっては、(1)耕作者の負担が軽減する(農薬散布回数や雑草取り回数の減少)、(2)反収向上による収入の増加が期待できる、(3)環境への負荷が低減する、などのメリットがあります。一方、消費者の遺伝子組み換え作物に対する抵抗感は強いものがあります。有害物質が含まれていたり、作物の安全性に対する消費者の不安感が残っているためです

特に、食の安全性を重視する日本や欧州の消費者は、非遺伝子組み換え作物(non-GMO)のニーズが高まっています。日本では1997年秋から遺伝子組み換え作物の輸入が始まり、1999年12月までに厚生省が「安全性評価指針」に適合していると確認した作物は、大豆、ナタネ、トウモロコシ、綿、ジャガイモ、トマトの6種類計22品種です。これらは現在も加工食品や家畜飼料に使われています。
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また、本来自然界には存在し得ない種を生み出すことで、作物に組み込まれた微生物の遺伝子が野生植物や従来の作物に広がったり、害虫抵抗性を持つ作物が結果的に害虫のみならず益虫まで殺してしまうなど、生物の多様性に影響を与え、生態系の均衡を崩してしまうなどの危険性も指摘されています。
それに加え、遺伝子組み換え作物を開発しているのは欧米のごく一部の多国籍科学企業であり、それら企業が種子の製造・販売権から特許まで持っているため、遺伝子組み換え作物が世界中に広まれば、少数企業の価格コントロールや農業支配の危険もあり得るという問題も指摘されています。
しかし、遺伝子組み換え作物は優れた技術であることは間違いありません。今世紀には、人口の増大による食料不足も懸念されていて、冷害や乾燥などの環境ストレスに強い作物の育種は、減少傾向にある耕地を実質的に補い、食料不足の緩和に役立ちます。また、生活習慣病や細菌感染症の予防など、健康維持に効果のあるさまざまな遺伝子組み換え作物の開発も進んでいます。

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2005年5月24日現在
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