我輩の辞書
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)
Post Traumatic Stress Disorderの略語で、心的外傷後ストレス障害という意味です。つまり、「トラウマ心的外傷)」となる、心に受けた衝撃的な傷(戦争や災害、事故、レイプなど)が元で後に生じる様々なストレス障害(頭痛、めまい、吐き気、無力感など)のことを指します。
阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件の折にマスコミに取り上げられ、わが国でも一躍有名になりましたが、この名称がはじめて登場したのは1980年、米国精神医学会が作成した精神疾患の分類と診断基準DSM-IIIにおいてです。その背景には、ベトナム戦争に従軍し惨劇を目撃した多くの復員軍人の間に、 帰国後発生した精神症状からこのPTSDの概念が作られたという歴史があります。
PTSDは一般に事件後数週から数ヵ月の間にみられますが、ときには数年経ってから発症することもあります。衝撃的な事件に直面したような例ではその発症率は30〜70%にのぼるといわれています。 このように私たちの生命や人格が根底から脅かされるような悲惨な体験を強いられると、そのストレスが癒しがたい心的外傷トラウマ)として残るわけです。
PTSDではこのような症状が少なくとも一ヶ月以上続くため、本人は著しい苦痛を訴え、また社会的、職業的な活動にも支障をきたします。
ふつう多くの例では適切な治療を行うことによって完全に回復するか軽快しますが、ストレスへの対処能力の乏しい子どもや対処能力の低下している老人では治療が困難なこともあります。
とくに子どものいわゆる虐待では長期にわたり反復して受けることが多く、健全な情緒の発達や人格形成に影響を与えることが知られています。PTSDの治療には家族をはじめ周囲の人びとのきめ細かな長期にわたる支援と多面的な心のケアが必要です。
ただし過去のトラウマの記憶が介入的なカウンセリングなどによって人為的に脚色、改造されることもあるので 注意すべきでしょう。
最近、PTSDで脳の海馬(記憶に関する中枢)の体積が対照と比べはっきりと減少している例のあることがMRIなどの画像診断で明らかにされています。このように脳に器質的変化をきたす可能性が示唆されたことは、ストレスと脳との直接的なつながりを示す所見として貴重なものといえます。
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2005年5月24日現在

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